個別伊川谷校広場
― 学びを変える特集(毎月30日更新) ―
「正しい方法で勉強すれば、必ず結果は出る」――誰もがいろんな場面で聞いたことのあるフレーズ。 受験生にとって避けて通れない“暗記”。しかし、人間の脳はもともと“忘れるようにできている”という。 では、どうすれば「覚えたのに忘れる」を防げるのか。
「忘れる脳」に勝つには?
ドイツの心理学者エビングハウスが示した「忘却曲線」によると、人は学んだ内容を 20分後に42%、1時間後に56%、1日後に74%忘れてしまう。 さらに1週間後には77%、1ヶ月後には79%にも達する。
「だからこそ、“忘れたころに思い出す”ことが重要。」 忘れかけた頃に復習することで脳に刺激を与え、記憶を深く定着させることができる。
短期記憶と長期記憶の仕組み
記憶には「短期記憶」と「長期記憶」がある。興味のない情報や、苦痛を感じながら勉強した内容は短期記憶にとどまりやすく、すぐに消えてしまう。
一方で、理解を伴い、何度も繰り返し学んだ情報は脳の「側頭連合野」に定着し、長期記憶へと変化する。 「短期から長期へ移す意識を持つこと」が、暗記の成功を左右する。
黄金サイクルは「繰り返し」×「アウトプット」
効率的な暗記には、 「タイミング良く何度も繰り返す」+「声に出す・書く」の組み合わせが欠かせない。
“読むだけ”“線を引くだけ”の勉強では「覚えたつもり」になりがち。 声に出して、書いて、頭の中で再現する――それが本当の記憶を作り出すプロセスだ。
最強暗記術①:音読+書き出しで記憶を固定
- 教科書を声に出して3回読む(最初は軽くでOK)
- 重要部分を意識しながら音読を繰り返す
- 重要語句を書き出す
- 「質問→答え」を自分で唱えながら再現する
この4ステップを実践することで、脳が「重要な情報」と判断し、長期記憶への移行がスムーズになる。
最強暗記術②:自作問題で競い合う
次のステップは「一問一答」や「予想問題」を自作すること。 仲間と出し合うことで刺激が生まれ、記憶がより強固になる。
他人の視点を取り入れると、見落としていたポイントに気づくことも。 “競い合いながら覚える”ことで、自然と定着率が上がっていく。
忘れてもOK。「思い出す」が脳を育てる
「人間は忘れる生き物。でも、“思い出す”という行為こそが脳のトレーニング。」 忘れた後に思い出そうとすることで、脳内の神経回路が再構築され、記憶力が高まる。
繰り返しアウトプットし、忘れたころに復習する—— それが、得点アップと暗記力向上の最短ルートだ。