【個別垂水高等部】古文対策(言語学習③)
みなさんこんにちは、創造学園個別垂水校2号館、略して創造個別垂水2です。共通テストまであと100日を切りました。ですが、高3生向けのお話は次回とさせていただいて、今回の題材は苦手な方の多い「古典」となります。中の人が古典の授業、特に初回授業の際に投げかけている質問がございます。
「古典」を難しいと感じるのは何で?
この問に対する答えは概ね次の3つに集約されます。
- 話が頭に残らない(誰が、誰に、がつかめない)
- 現代語と意味が違うので分からない
- 古典文法が覚えられない
中学校の学習カリキュラムの関係上、また、感情的には上記3つが出てくることに関しては、極々自然ではあるのですが、「古典は難しい」という方、次の質問について考えてみて下さい。
それは、「古典」に限った話でしょうか?現代口語でも同じ事が起こりうると言えませんか?
「壁」を作れば、「入るモノも余計入らなくなる」
「古典」の特筆する性質はただ一つ、「今も残っている=共感される何かがある、あるいは残しておく必要がある」です。現代のアニメ等々でも「リメイク」は話題となり、そして、「解釈違い」による論争が発生します。アニメの例を出しましたが、「古典」も同じ、各時代で「解釈」論争は発生しています。中には一番最初の原作とは異なる形で伝わっている「昔話」などもあります。何が言いたいかというと、「現代作品」であれ、「古典」であれ、「生きて」、「そして残る」ということです。
結局のところ、自分自身の趣味、好みや関心、「言葉」が原因で「壁」ができやすい、というのが「古文」です。
しかし、「現代語」と使われ方が違うとしても、「現代語」と全く無関係な語句は存在しません。ついつい作ってしまう「壁」を取り除いていくことが言語習得の第一歩となります。標準化されつつあるとは言え、「方言」や、地域独特のイントネーションとして古典的表現が意外と残っていますので、「方言」と「古典表現」について、といった探究学習もありですね。
ここまでは「古典」学習の前提のお話となりましたが、ここからは具体的な「テスト対策として行うこと」について触れていきます。
中学では「とにかく音読」が命、「現代口語文法」をおまけで
人間の脳は基本的に「文字情報」も「音声情報」とセットで記憶される(記号情報と音声情報がかみ合わなくなる習字障害を除く)ため、「読めない」言葉は頭の中に残らなくなります(英単語学習法が「書く」から「読む」主体に変化しつつある理由でもあります)。したがって、古典の学習初期は「音読」が最も効果があります。古典の場合は、「平仮名」が多めの文章よりも、「漢字」の多い文章の方が逆に読みやすいかと思います。「漢字の読みが・・・」という方は「小学校」内容に戻る必要があります。
引っかからずに読めるようにするため「現代口語文法」における「文節」区切りは必須となります(「文節」ルールは現代語も古文も同じ)。品詞に関しては「助詞」「助動詞」を除く全て(口語文法における助詞-助動詞や、動詞の活用についてはそれなりに、でOKです)。
引っかからなくなったら次のステップ。文章を読む上で、助詞の「と」「て」「ば」の3つの区別がつけば高校入試レベルであれば8割の得点率が見込めるようになります。
~「と」・・・中学校では台詞の終わり、として出てきますが、それ以外に「名前を付ける」「作者自身の感想を述べる」際に使用します。筆者の考えを述べよ→台詞部分以外の「と」が目印になることが多いため、押さえておくと便利です。
~「て」~・・・前後の動作主、対象主は基本的に「同一人物」「同一対象」となります。変化させる場合は名前の表記があります。これは現代文でも同じです。
~「ば」~・・・前後の動作主、対象主がほとんどの確率で変更、となります(例外はある)。そして、『動詞の未然形+「ば」』と『動詞の已然形+「ば」』の識別が、現代文との感覚のずれが最も大きくなり、最も高校入試に出題されやすい内容、となります。詳細は別回で触れることにしますが、『未然+ば』=『仮定』の話、『已然+ば』=『原因と結果』、と大枠で見ておけば良いです。文章量の都合上、「未然」「已然」についての説明は割愛します。
「と」「て」「ば」は、動作主や対象主が省略されやすい古文においては高校においても最低限押さえておくべき助詞となります。
『言葉』は生き物=単純(単一)暗記は役に立たない
『言葉』は時代と共に使われ方も変化していきます。例えば、元々は「数量を表す単位の一つ」だったはずの『ギガ(10の9乗)』ですが、直近の日本においては別の使われ方をしていますし、動詞化して使用するケースも出てきています。数年前であれば『タピる』などの言葉も流行しました。ここ数年ではSNSの影響か、小中学生の間で「マジで。」だけで会話が成立しているという現象も発生しています。
少し話は変わりますが、英語において”go”を『行く』とのみの単一暗記になり、少し異なる使用法をされた途端「分からない」という生徒を数多く見てきました。古文でも同じで、『あはれ』=『趣深い』と覚えた結果、『美しい』『悲しい』といった訳例で困ることに。当然ですが、こうした生徒は「では、『趣深い』ってどういうことですか?」という問いを出すと、答えることができません。ちなみに、「自身の心を揺り動かす」を上品に表現しているのが『趣』です。『あはれ』は、言葉で表すことができない一瞬の感動を指す言葉であり、単一の現代語訳例は存在しません。語彙力低下という別問題がありますが、今の小中学生の場合、「マジで。」がもっとも共感しやすい訳例となりそうです。
「部品」として単語「暗記」ではなく、現代語との共通点や違いについて深めていく形式で進める方が『苦手』にならずに済みますし、テストの点数も確実に伸びます。
高校『古典文法』は『情報(構造)解析技術を身に付ける練習』
ここから少しだけ高校内容について触れます。『書き記すための言語体系』が大衆化されていない時代においては『文法』が『現代文』と比べて、厳密に定義されています。早い話、文法的には誰が読んでも「同じ」内容になるということです。従って、「あはれ」など感情に関する解釈は別として、少なくとも『誰が、誰(何)に対して』といった骨格の部分は文法解析で確定できます。比較して、現代口語文法は自由度が高かすぎるため、文法析は難しいとも言えます。少し脱線しますが、AIが世界最難関の言語である日本語を理解し始めたというのはかなり大きな意味があると感じております。
数年前に議論されていましたが、現代語訳にすることが目的であれば、高校で古文を学習する必要はなくなります。ただし、自国の言語を用いて『情報(構造)解析』をおこなう技術を身に付けることができる、という点において有用ではないでしょううか。まだ統計は取っていないのですが、『古典』文法の得点率と『情報Ⅰ』のプログラミングに関する分野の得点率には、相関関係が出るのでは?と予測しております。また、これからAI時代に突入していく中でこの解析技術は情報系に進む人には必須、と感じております。
しかし、『古典文法』ばかりだと逆に入試では点数が取れない
細部ばかりにこだわりすぎる結果、全体像が見えなくなるというのが高校古典の弱点です。共通テストでは、文法解析は1問のみ、となると、「文法」はあくまで学校のテスト対策。大学入試では「全体像を掴む」方が限られた時間の中では有効となります。従って、入試対策においては、文法理解を100%にする必要はなく、体感7割理解できたら、文章を読む数を増やすことに力を入れ、あとは問題毎に細部を確認、という形にする必要があります。
従って、この10月に『文法の総復習』を行うのは、悪影響しかありません。文法に関しては、高1~高2の内に、7割理解にする(解説が読めればOKにする)。入試に利用できる『古文』はこれ以上新しい文章は生産されないため、「似た話読んだことある」という経験値を積む方向へ持っていく方が得点源となります(中学生からの積み上げとなります)。
漢文対策
今回深掘りは致しませんが、文構造は大陸型ですので、英語にかなり近くなります。英単語の代わりに漢字が置かれている英文、をイメージしておくと良いかもしれません。ヨーロッパの語句を漢字に置き換えてしまえば読み解くことができた、というのが中世~近世の日本の知識人だったと言われています。かなり便利だとは思いませんか?語順パターンも20~30覚えておけばある程度読み解くことが可能になります。あとは、「日本語と異なる意味で扱われる漢字」に注意していけば、「古文」よりも早く読めるようになります。
まとめ
古文学習を進める上で、①とにかく「音読」②「単語」は単純暗記にならないようにする。③「文法」ばかりにならないようにするが得点率を上げていく上で重要なポイントになります。
今回はここまで、次回は高3生向けを挟んで、そのあと「日本語と英語の比較」について触れていきます